鈍感な君へ
「この写真に写っているのは幸せだった頃の両親なんだ

この写真を撮った数ヵ月後に母さんは知らない男と俺を置いて出て行った

それから父さんは酒に溺れて俺は暴力を振るわれる毎日で、

散々だったよ。でも、唯一見方でずっとそばに居ると誓ってくれたのは

ばあちゃんだった…。本当にそうだ。

父さんもよく家に来ていたおばさんとどかに行ってしまった

それから俺が高校生になってから

月に1回くらい家に顔を出してばあちゃんに

俺を引き取らせてくれるよう、頼んでるんだってさ…」




その口調は物語を読むかのようだった




「そう、なんだ…」




なんて言えばいいのか正直分からない




「…別にもう、悲しいとかないし…」





「…うん」





「今さら父親面されても困る…。俺はばあちゃんがいるだけで、幸せだ」



その笑顔は何の偽りもないものだった



「そっか」



笑顔で返す




「…前は、また、母さんと父さんと暮らせたらって思ってたけど今は違う」




「…」



「俺には、帰る家があって、ばあちゃんがいる。それでいい」






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