鈍感な君へ
「だって、だって。晴樹の家でしょ?」


「そうだって」


やったぁ!晴樹の家に入れる


素直に嬉しいな


―…自分の家でやるのに迎えに来てくれたの…?


ふと隣で歩いてるのは本物の晴樹なのかと疑った


でも本物で、わざわざ迎えに来てくれたんだと知った



「ありがとう。晴樹っ」


きっとあたし今気持悪いくらい笑顔だ


でも、だって嬉しいんだもん



「まぁ、彩奈迷いそうだし」


「何それ~」


頬を膨らましていると晴樹の手が伸びてきて

ブッと潰された


「ここ、俺んち」



晴樹が指差す先には普通の一軒家の家があった


「何か晴樹んちっぽい」


「はぁ?バカか?」


「うるさい」


「まぁ、入れよ」


「うん」


あたしは晴樹の半歩後ろをついていった


「ただいま」


「お邪魔します」


入ると晴樹が「ただいま」と言うのでとっさに「お邪魔します」と声をかけたが誰もいないようだ



「親、いないの?」


「うん。ばあちゃんと2人暮らし」


「そう…」



―親いないのって出掛けてるの?って意味だったんだけど……

晴樹も意外に苦労してるんだ



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