鈍感な君へ
晴樹の両親は亡くなったのかな…


人の過去知りたがるのって、最低だよね…


でも、知りたい


あたしって知ってるつもりで晴樹のこと何も知らなかったんだ


あたしは爪が白くなるくらいギュっと写真立てを握り締めた



ドンドンドンと階段を上がる音が聞こえてきた


――やばっ


咄嗟にカバンの中に写真をしまってしまった



ドアが開く時には何もなかったように平然を装った



「彩奈ぁ。ごめんぇ」



一番に泉が入って来た



その後ろに裕士と晴樹と彰【アキラ】がビニール袋を持って入って来た


この3人は学校でも仲が良くいつも一緒に居る



「未成年だで酒は売ってくれんかった」



泉が不機嫌そうにあたしの横に座る



「まじか。まあ、最近厳しいからね」


「でもジュースとお菓子大量に買ってきたぜ」



裕士がテーブルにお菓子とジュースを並べた



「よぉーし。酒じゃないけど、始めますかぁ」



晴樹の合図とともに皆がジュースの缶を持つ


「乾杯ーっ」


缶が中心に集まり皆の缶とぶつかる



「っ」

晴樹の缶とぶつかった時ニッて笑ってくれてそれだけで胸が苦しくなった


指先がちょんと触れた、そこから全身にかけて熱くなる




広げたお菓子、飲みかけのジュース、皆の笑い声。


笑ってみたりするけど晴樹のことしか頭になくて


写真のこととか色んなことが頭を駆け巡る

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