鈍感な君へ
一人で歩く帰り道






――…雨は、降ってない






「お、彩奈?」






その声は愛しい人の声だった








「…晴樹」






振り向いたら少し着くずした制服から出た





頼りない細い手足







だけど逞しくてこんなにも胸が締め付けられる







「やっぱ彩奈だった」






ニッて笑った彼に不覚にも涙が出そうになった







嗚呼バカだあたし

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