ヤクザに愛された歌姫【完】
あたしはここだよ。
ここにいるんだよ?


そう言いたいのに言えない。
あたしは意気地なしだよ。



『どんな明日が待ってるんだろ~♪』




あたしが歌い出すと
獅狼は一瞬驚いていたけど
黙って最後まで聞いてくれた。




「やっぱり上手だな。」



『歌が大好きなだけだよ。』



あたしがそう言うと
獅狼は吸っていた
タバコを地面に落とし
足でグリグリと踏み潰した。




『獅狼?』



「俺は歌が嫌いだ。」




獅狼はとても冷たい目をしていた。





『あたし歌う!』



「延珠?」



怪奇そうな顔をした獅狼に
あたしはゆっくりと近づいた。



『あたしは歌う事でしか
想いを伝える方法を知らない。』





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