ヤクザに愛された歌姫【完】
『あの!待って!』



すると後ろから
誰かに呼び止められ
俺とジュンは足を止めた。



「えっ延珠ちゃん!?」



振り向いた先にいた
アイドルにジュンは
あわてていた。




『あのこれ…』



アイドルが差し出してきたのは
俺のてんかんの薬だった。



「ありがとう…」



『てんかんの薬落としちゃダメだよ。』




俺はアイドルの言葉に驚いた。




「審査員に言うのか?」



いつもそうだった。
母親の再婚相手に受けた虐待が
原因でなったこの病気のせいで
運転やら生活まで制限されて
仕事探しすらバレないように
隠して生きてきた。



『言わないよ。
だって病気はあなたのせいじゃない。』




俺は昔同じことを延珠に言われた。




『最終選考頑張ってね?』




アイドルはそう言うと
さっさと行ってしまった。







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