Disposable
「折角だが、そいつは受けられない」

バニングは肩を竦めて言った。

彼は隣に立つヒューを親指で指す。

「コイツと傭兵稼業を始めるって約束しちまってるんでな。もうチーム名も決まってる」

「…聞かせてもらっていいか?」

ガイストが質問する。

「Disposableだ」

バニングは堂々と答えた。

Disposable。

戦傷によって肉体的・精神的に障害を負って勤務できなくなった場合、正規の軍人であれば勲章を授与され、傷痍軍人として恩給や廃兵院など、福利厚生を利用する権利が国から与えられるが、民間軍事会社の社員の場合、公式の戦傷者として認定されない為にそれらの権利が与えられず、『使い捨て』にされる可能性があり、死傷者への福利厚生が薄い。

まさに傭兵稼業に相応しいチーム名といえた。

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