Disposable
そんな声に気付かない筈もなく。

「誰っ?」

娘は水面から体を起こし、両手で胸を覆った。

「…いや、すまない。覗くつもりはなかったんだ」

バツが悪そうに、バニングとヒューは茂みの中から出てくる。

「そう、ジャングルの中を長い事歩き回っててな、喉が渇いていただけなんだ。水場を探してたら、その…偶然、偶然なんだ。魅力的な君の姿を見つけてな」

しどろもどろに言い訳を並べるヒューの顔を見て。

「…イケナイ人」

クスッと、妖艶に微笑む娘。

直後。

「銃を捨てろ」

いつの間にか背後に迫っていた数人の男達によって、バニング達は銃を突き付けられた。

銃はMP5A4のジャングルスタイル(銃のマガジンを粘着テープなどで複数連結し、マガジンの交換にかかる時間を短縮する改造)。

世界で最も使用されている短機関銃であり、各国の軍隊、警察、対テロ組織などで採用される高性能機種だ。

気が付くと、水の中を揺蕩っていた娘もいつの間にか服を着て、バニング達に拳銃を向けていた。

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