Disposable
事件は昼食中に起きた。

バニングとヒューが食事をトレーで受け取り、地面に腰を下ろす。

メニューはパンとスクランブルエッグ、茹でたマカロニをケチャップで炒めたもの、そしてコンソメスープとミネラルウォーター。

特にこの炎天下、ミネラルウォーターは貴重だ。

まずはミネラルウォーターをがぶ飲みしようとする。

その時。

「あっ!」

声が聞こえた。

バニング達が振り向くと、サムソンという受刑者がビリーという受刑者に近付いていた。

サムソンは部隊内で仲間を揉め事の末に殺害してしまった、元ヘビー級ボクサー。

そこそこの世界ランカーだったという実力者だ。

サムソンはいきなりビリーのミネラルウォーターを取り上げる。

「な、何すんだよサムソン!」

「こないだシャワー室でリンチされそうになった時、助けてやったよなぁ?ビリー…感謝の印としてもらっとくぜ」

サムソンはニヤニヤしながら言った。

…サムソンは、頼まれもしないのに用心棒を気取って、こうして他の受刑者から食事を奪っている。

だが、誰も反論しない。

彼がこの刑務所で上位に位置する『ランキング』の強者だからだ。

そのサムソンに。

「おい」

バニングが立ち上がり、声をかけた。

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