Disposable
「水を返してやってくれ。喉が渇いているのはお前だけじゃない」

「い、いいんだよ!アイツに逆らっちゃいけない!」

ビリーが必死に制止しようとするが、バニングは聞かない。

…サムソンは、ゆっくりとバニングに近付いていく。

「てめぇ、俺が元ヘビー級ボクサーだって知らねぇのか?」

「それ以前にママに教わらなかったか?他人の物を奪っちゃいけませんって」

バニングは顔色一つ変えずに言ってのける。

「てめぇっ!」

すかさずサムソンの右フックが、バニングに炸裂!

バニングは大きく体勢を崩す…が。

すぐさま体を反転させ、サムソンの股間に後ろ回し蹴り!

「うぐっ!」

サムソンは股間を押さえ、その場に跪いた。

「…リング上の格闘技なんてそんなもんだ」

バニングが冷静に言う。

たった一撃でノックアウト。

それ以前に、元ヘビー級ボクサーの右フックを諸に食らってもビクともしないタフネスぶり。

バニングの肉体の強靱さは恐るべきものだ。

「ビリー、お前のだ」

バニングはミネラルウォーターのペットボトルを拾い上げ、ビリーに差し出す。

本来ならこれで一件落着だ。

が。

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