Disposable
バニングのナイフは、まだエリックの手の中にあった。

SEALs隊員のナイフテクニックは、アメリカ軍の中でも随一と言われる。

弾丸を受けた体で捌き切れるか。

「シュッ!」

素早い刺突を繰り出すエリック。

バニングの身に付けていた生地の厚いデニムのベストをも切り裂く。

二度三度と掠めるうちに、ベストはズタズタになってしまった。

そのベストを引き裂き、右手に巻き付けるバニング。

その手でナイフを捌く。

隙の小さい刺突を、何とか弾きながら。

「おらぁっ!」

エリックの顔面にストレート!

怯んだ隙にもう一発!

バニングの隆々とした筋肉は伊達ではない。

剛腕から繰り出される拳に、エリックの顔面はどんどん歪んでいく。

「顔ばっかり狙うな!」

激昂してナイフが大振りになるエリック。

それを回避して。

「顔は駄目だったかいっ?」

バニングのバックハンドブローが、エリックの横っ面を殴り飛ばした!

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