Disposable
「どうする?バニング」

ヒューの問いかけに、バニングはマンホールの蓋を微かに浮かせたまま考える。

どうやら蓋の重量でセンサーが反応しているようだ。

蓋の重さは約80キロ。

ならば。

バニングは蓋を浮かせた瞬間に片手を入れ、センサーを全力で押さえつける!

片手で80キロの荷重をかけようというのだ。

その間にもう片方の手で80キロの蓋を抉じ開け、まずはヒューをマンホールの中に入らせる。

そして今度は、自身の体をマンホールの中に滑り込ませる。

「何てぇ馬鹿力だ」

舌を巻くヒュー。

マンホールに入り込んだ所で、ゆっくりと蓋を閉めながらセンサーを放す。

センサーは反応しなかった。

見事マンホールへの侵入成功だ。

マンホールの中で、バニングは大きく息をつく。

流石に冷や冷やした。

如何に彼が優秀な兵士といえど、このハイテク刑務所からの脱獄は容易ではない。

この先、どんなトラップが待ち受けているのか。

集中してかからなければならない。

バニングとヒューは、ゆっくりとマンホールの梯子を下りていった。

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