Disposable
下水道に降り立つ。

仄暗い通路の中、バニングは目を凝らした。

特に人がいるような気配はない。

動くのは踝までの深さの下水と、この下水道に棲みついた鼠だけ。

当面は心配なさそうだ。

「ひでぇ臭いだな」

ヒューが顔を顰める。

「贅沢は言ってられん」

バニングはM60を構え、進み始めた。

…下水道は思いの外に入り組んでいた。

迷路のような複雑な造りの上、視界もあまり良好とはいえない。

暗闇というのは、否応なく不安を掻き立てるが、止まる事なくバニングとヒューは歩き続ける。

しばらく進んだ頃。

「…?」

バニングは立ち止まった。

耳を澄ませると、足音が聞こえる。

この足音は…。

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