Disposable
「大丈夫かバニング」

ヒューが駆け寄ってくる。

「ああ…だが銃声でこちらの位置が悟られてしまったかもしれない」

バニングは言う。

この場に長居は無用だ。

2人は移動を再開した。

…思ったよりも広大なこの下水道は、方向感覚を狂わせる。

バニングは幾度もコンパスで方角を確認しながら進んだ。

とにかく下水道から早目に脱出したい。

先程の交戦で、位置を特定された恐れがある。

早い内に抜け出さないと、このまま袋の鼠にされる可能性も捨て切れない。

と。

「!」

ヒューが突然立ち止まり、耳を澄ませた。

…微かに、ほんの微かにではあるが、人の声が聞こえる。

遂に看守達が、下水道に入ってきたらしい。

2人は駆け足で先を急いだ。

発見されてしまうと面倒だ。

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