Disposable
勝負は決した。

20人以上いた看守達が、バニング達の手で壊滅。

…バニングは、微かに息のある看守に歩み寄った。

呼吸が荒い。

もってあと数分の命だろう。

追う者と追われる者。

敵ではあるが、バニングはこの看守に私怨があった訳ではない。

「看取るのも何かの縁だ…遺言があれば聞こう」

「あ…ああぁ…くっ」

看守は口を動かしながら、バニングにしがみ付く。

とはいえ、その手に力はない。

それでも、この看守の全力だった。

「妻(メアリー)と…娘(ジェシカ)に…父さんは頑張ったと…フォード所長から守る為に…父さんは頑張ったと…伝え…」

遺言の途中で、看守は事切れた。

バニングに1枚の紙を託して。

『フォード所長から守る』

最初は言葉の意味が理解できなかった。

だがその紙を見て、バニングは言葉の意味を知る。

誓約書のコピー。

フォードの為に、命令の下、どんな過酷な業務も遂行する事を誓う。

この誓約書に違反した場合は、家族をフォードに捧げる事を約束する。

誓約書には、そんな内容が書かれていた。

家族を人質に、永遠の服従を誓わされる。

彼だけではない、フォードの下で働く全ての看守が、同様の誓約書を書かされていたのだろう。

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