Disposable
お喋りもそこそこに、2人は移動する。

まとわりつくような熱帯雨林特有の湿った空気の中、密林を歩いた。

特別戦犯刑務所の所在は、囚人達は勿論一般にも知らされていないが、このジャングルから見るに、南米辺りなのかもしれない。

本来ジャングルの中を行動する際、肌は露出させるべきではない。

葉や枝で肌を傷つけてしまうし、ジャングルに生息する毒虫や毒蛇、蛭などの恰好の餌食になりかねないからだ。

バニング達の場合は、刑務所から脱獄してきた為、十分な装備は整えられなかったのだが。

幸いバニングは、グリーンベレー時代に培ったサバイバル知識がある。

装備を持たない分、それで何とか補う事が出来た。

…ふと、生い茂った木々の隙間から空を見上げる。

黒雲が迫ってきている。

スコールが来そうだ。

長時間雨に打たれるのは、体力の消耗に繋がる。

雨をしのぐ場所を、探す必要があった。

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