Disposable
手頃な雨宿りの場所を探すバニング達。

しかし、雨宿りの場所を見つける前に、スコールは降り始めた。

まるでバケツを引っ繰り返したかのように、大粒の雨が樹木を、地面を、そしてバニング達の体を叩く。

不快なまでの気温と湿度にウンザリしていたバニング達には心地良い雨だったが、長時間雨に晒されていると、急激に体温が奪われる。

出来るだけ早く、雨をしのげる場所を見つけたかった。

と、その時。

「!?」

密林の陰で自分以外の人影が動いたような気がして、ヒューがグロックを構えた。

「どうしたヒュー」

「……」

バニングの問いかけにも、ヒューは答えない。

誰もいない。

聴覚を研ぎ澄ませてみるものの、スコールの音だけが響き渡る。

「何でもない」

ヒューはグロックを下ろし、移動を再開した。

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