蒼空の下を、キミと2人で
[水瀬 蒼さん]



ここに蒼がいるんだ…



点滴とか、知らない機械がいっぱいついてる蒼を想像した。



そうしたら、自然に足がすくんだ。



ガラッ



そこにいたのは、点滴がひとつだけついている、予想より元気な蒼だった。



「にこ、心配かけてごめん。



もう元気だから」



蒼はあのことを知らないんだ。



蒼に向かって、自分が今できる精一杯の明るさで言った。



「心配したんだよー?



あとね、いいお知らせ!」



蒼は首を傾げた。



そんな蒼に近づいて、耳打ちする。



「…蒼ね、お兄ちゃんになるんだよ!」



「…!



ほんと!?」



「ほんと!」



喜んでる蒼を見るのは、辛かった。



「超甘いお兄ちゃんになりそうだね!」



「そうだな」



蒼は兄弟が欲しいって言ってたから。



「じゃあ、もう入院してる場合じゃないな、母さん、いつ出られる?」



蒼のお母さんは、戸惑ったみたいだった。



「蒼…よく聞きなさい…



蒼は…余命1カ月ぐらいなんだ。



だから、退院は…できない。」




代わりに蒼のお父さんが答えた。
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