蒼空の下を、キミと2人で
「痛っ」



「蒼!?」



蒼は頭の傷を押さえた。



「大丈夫だから」



また涙が溢れた。



蒼の冷たい手が、温かい涙を拭う。



「もう大丈夫。



心配かけて、ごめん」



「もう、心配したんだよ?」



泣きながら、笑った。



「それより、にこ、授業中、ちゃんと起きてる?」



ぎくっとした。



今日寝たばっかりだったから。



「…今日も、寝た…」



「だめじゃん」



「ホームルームの後、お説教が始まりそうだったから、逃げてきた」



そう言ったら、蒼は笑った。



「すごいな。



にこのクラスの担任、怒ると怖いじゃん」



「そうかなー」



蒼にも怖いものなんてあるんだ。



コンコン



「蒼ー」



蒼のお母さんだった。



「明日また着替え持ってくるからね」



「あぁ」



「にこちゃん、今日はもう帰りましょう」



「はい」



蒼と離れたくなかったけど。



「バイバイ」



「明日な」



後ろ髪をひかれる思いで集中治療室から出た。
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