蒼空の下を、キミと2人で
家の前で降ろしてもらった。



「ありがとうございました」



「こちらこそありがとうね。」



ガチャ



「ただいまー」



「にこ!!」



「なにー?」



リビングに行くと、ぐったりしたお父さんがいた。



「お父さん、吐いちゃって。



今から病院行ってくるからね」



全然大したことなくないじゃん。



「夜ご飯はおいてあるから。



行ってくるわね」



「お父さん、頑張ってねー」



1人になった家で、夜ごはんを温めた。



ハンバーグかぁ。



1人で食べてもそんなに美味しく感じられなかった。



蒼はいつも1人なんだもんね。



傷が痛そうだったけど、大丈夫かなぁ。



お風呂に入って、宿題をやってたら。



ポロポロ



「あれ、なんでっ」



涙がプリントを、教科書を濡らしていく。



蒼に会いたい。



ノックしたら、会えたのに。



登下校の時にも、テストのライバルの蒼はいなくて。



さらに、蒼はいつも辛そうで。



私には、わかる。



笑ってても、前みたいな心からの笑顔じゃないこと。



たまに蒼の目が泣いた後のように真っ赤なこと。



もう、情緒不安定だ。



ちょっとしたことで、涙がでちゃう。



宿題を終えて、テレビを見てたら、もう11時だった。



お母さんたちが帰ってくる気配はない。



「もう寝よう」



そうして、人生で1番緊張して、涙した1日は幕を閉じた。
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