蒼空の下を、キミと2人で
「今日はプレゼントがあるの!」



「何それ?」



蒼は、細くて綺麗な指を、毛布の隙間から出して、指差した。



「じゃじゃーん!!」



くまのぬいぐるみを出した。



「ぎゅーってして寝ると、安心できるからさー、もってきたの!」



「…それ、お気に入りって言ってなかったっけー??」



私がこのぬいぐるみにした理由、それは、お気に入りだから。



私のお気に入りを蒼に持ってて欲しかったから。



「分かってないなー!



お気に入りだからだよ。



蒼にあげるっ!」



「…ありがと」



私は棚のところに置いた。



「蒼がくま抱きしめて寝てるとこ、見たいなー!」



笑いながら、言った。



蒼が、悲しそうな顔をするから、無理にでも笑ってないと泣いてしまいそうで。



蒼は、いきなり口を押さえた。



「蒼!?」



蒼は深呼吸を繰り返したあと、



「もう大丈夫だから」



って言った。



「休んだ方がいいよ?



明日も来れるから」



本当は帰りたくない。



まだ蒼といたいけど。



「うん、ごめん」



「じゃあ、明日ね!」




病室から出た途端、壊れたように涙が溢れ出て、病院から家の近くまで続く、長い一本道を泣きながら帰った。
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