蒼空の下を、キミと2人で
蒼、ごめんね。



本当はそんな約束してないよ。



蒼と一緒にいたいのに、一緒にいたら涙が溢れそうで。



スマホで「涙を止める方法」なんて調べてみちゃったりしてる。



いつもそう。



病院への行きは早く会いたくてるんるんなのに、帰りはこうして泣いちゃうんだ。



冬は日が沈むのが早い。



あたりはオレンジ色に染まっていた。



「ただいまーー!」



だいぶお父さんは復活していた。



「そういえばね、今度コンクールがあるから、見に来て!」



ダイニングテーブルに、サンドイッチが入ってたお弁当を置く。



「そうねー。



今年こそ金賞が良いわねっ!」



去年は銀賞だったから。



階段をのぼって、部屋に入った。



目に映るのは、レースの白いカーテンがついた窓。



カーテンを開けてみるけど、当然蒼の部屋の電気はついてない。



ほろりと涙が頬を伝った。



蒼の前では泣かないから、今は泣いてもいいよね…?



鼻の奥がツンとした。



しばらくそこに突っ立っていた。
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