蒼空の下を、キミと2人で
川崎先生が入ってきた。



何か難しそうな指示をする。



「にこちゃん、待合室で待ってて?」



「はい…」



リュックをつかんで病室を出た。



そして、蒼のお母さんに電話をかける。



「もしもし?



蒼のお母さんっ!?」



ー にこちゃん、どうしたの?



「蒼がっ、血を吐いちゃったのっ!



おばちゃん仕事中?」



ー そうだけど、すぐ行くからね。



「今、待合室で待っててって言われた」



ー 分かった。



電話を切る。



辛そうにしてるのは見たことがあるけど、血を吐いたのを見るのは初めてで。



来る時に見た、泣き叫ぶ女の人が頭に浮かんだ。



どうしよう、怖い…



でも、蒼はもっと辛いんだ。



待つこと10分。



「にこちゃん!」



蒼のお母さんだった。



「何があったの??」



「蒼と勉強してたら、ひっく…



蒼がいきなり口を押さえて、



鼻血かと思ったけど…



手が真っ赤で…」



全然話がまとまってない。



それでも、蒼のお母さんは背中をさすりながら聞いてくれた。



「とにかく、今は待ちましょう?」



蒼のお母さんのお腹は、ちょっとずつ大きくなってきていた。
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