蒼空の下を、キミと2人で
家に一目散に帰る。



もう5時。



冬ということもあって、暗くなりはじめていた。



「ただいま!」



お母さんとお父さんはいなかった。



「あれ…?」



[にこへ
今日は結婚記念日なので、お父さんと2人きりでデート兼ディナーに行ってきます。


夜ごはんは、にこの好きなパスタです。
母より]



「…まだまだラブラブだなぁー…」



ぽろりと涙が一粒目から溢れる。



もしも、蒼が元気だったら、いつかは結婚して、子供もできて、ずっと子供が呆れるぐらいラブラブだったかな。



「だめだめ」



そんなことは考えないって決めたから。



クラリネットの練習を始めても、涙は止まることはなかった。



前はノックしたら蒼に聞いてもらえた。



おしゃべりできた。



考えないように、と思っても。



どうしても考えちゃう。



その時、彩花から電話があった。



「にこ、明日頑張ってね!」



彩花は出ないから、明日会うこともない。



「うん…」



涙声になる。



「にこ、なんかあった?」



さっきのことを全部話した。



「そっかー。



とにかく明日は頑張って!



それからカフェでも行こう?



話聞くから!」



「ありがとう」



電話を切って、練習を再開する。



夜ごはんを食べて、10時には寝た。



つもりだったけど、寝れなくて11時になった。



でも、ベッドで本を読んでいるといつの間にか寝てしまった。
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