蒼空の下を、キミと2人で
のどが渇いて、彩花の分もお茶を入れたとき。



「なにこれ…?」



粉薬だった。



「にこ、それ蒼くんの忘れ物じゃない?」



蒼のかぁ。



「私、行ってくる!」



「じゃあ私も帰ろうー」



2人で家を出た。



「にこ、頑張って!」



「うん!!」



その時、なぜか自転車という手段は思いつかなかった。



病院だから、もらおうと思えばもらえるはずなのに、焦ってて、蒼はこれがないとすっごく困るんじゃないかと思って。



信号で止まるたびに早く行きたくて足踏みしてしまう。



いつもの暖房が暑い。



「蒼!」



蒼はすごく驚いていた。



「これ、ないと困ると思って…」



必死な私とは対照的に蒼は笑った。



「そんな困らないよ。



でも、ありがと」



「じゃあ、明日ね!」



病室を出た私を佑樹くんが走って追いかけてきた。



「にこちゃん、彩花は本当に俺のこと好きかな??」



いきなりの相談だった。



「彩花は佑樹くんのこと好きだと思うよ!



彩花は不器用だから、愛情表現が苦手なんだと思う、多分。



でも、彩花は佑樹くんが思ってるよりずっと佑樹くんのこと好きだよ、絶対」



まぁ、佑樹くんがそう思うのも無理はないと思う。



でも彩花は佑樹くんのことがほんとに好きだった。


< 232 / 261 >

この作品をシェア

pagetop