蒼空の下を、キミと2人で
蒼のベットにそーっと近づく。



酸素マスク越しに聞こえるこもった声。



「にこ…大丈夫だから…」



ふと、我に返った。



蒼が、ずっと大丈夫って言ってたのは、病気を隠そうとか、ただそんなんじゃんくて私を安心させようとしてくれてたんだ。




私のこと安心させようとしてくれてたのに「大丈夫」禁止とか言っちゃった自分が情けない。



熱い涙が頬を伝って床に落ちる。



こんなに高熱なのにひんやり冷たい蒼の指が私の涙を拭う。



蒼は私を抱き寄せた。



病気のせいで痩せてしまった身体からは想像もできないような強い力で。



背の高い蒼だから、私は蒼の腕の中にすっぽりと収まる。



身体を起こすだけでしんどいはずなのに。



起き上がって抱きしめてくれた。



蒼は、私に聞こえないように、小さな声で



「…だる…」



と呟いた。



でも、抱きしめられているあんなに近い距離じゃ、聞こえる。



「蒼、寝てていいよ。



ずっとここにいるからさ」



蒼は、その言葉を聞いて、安心したのか、ベットに横向きに寝た。



私の方を向いて。



はぁはぁと息が苦しそうな蒼の手を握ってあげる。

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