蒼空の下を、キミと2人で
蒼は目を瞑っていた。




でも、布団は上下していなくて。




「嘘、だよね…




昨日だって、また明日!って言ったよね?




蒼がいないとか、考えられないよ…」




当然、蒼からの返事はない。




「蒼、どうしよう。




蒼がいなきゃ、テストだって、文化祭だって、登下校だって、全部。




全部全部つまんないよ…」




涙が一粒目から溢れた。




ただ声が響く。




ドアがノックされた。




「にこちゃん」




川崎先生だ。




のろのろと病室を出た。




お母さんに支えられる。




力は抜けるのに、涙は全然出なかった。




多分、まだ全然実感がわかなかったから。




蒼のお母さんが泣き崩れた。




蒼のお母さんだって泣かなくてもいいのに、蒼は絶対にまだ生きてる。




また起きて、抱きしめてくれて、ごめんって言ったら罰でキスして、『にこ、大好きだよ』って行ってくれるよ!





お母さんに家に連れて行かれた。




そのまま自分の部屋に入って、ドアにもたれかかった。




蒼が死んじゃうなんてありえないよ。




私、神社でお願いしたし、蒼は大吉だったんだよ?




蒼は弱いところ全部隠して、我慢して。




頑張ってたんだよ?




なのに…なのに、なんで蒼なの?




もうなにがなんだかわからない。




これは夢だよ、きっと。




ほっぺをつねってみても、痛い。




とにかく、夢だ!




寝よう。
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