かわいいあなたにマフラーを
「副会長、なんかウキウキしてない?」

会議が終わった途端、井口に話しかけられた。
俺、そんなに態度に出てる?

「俺、彼女が出来たんだ。
嬉しくて」

「へぇ、良かったじゃん。
ね、どんな子?」

会長がニヤニヤと俺に色々聞いてくる隣で、井口は黙り込んでいた。
さっきまであんなにお喋りだったのに、急にどうしたんだろ。

「へ、へぇ……そうなんだ。
あ、あたしもう行くね?
そ、そうだ! 友達と約束があるの!」

井口はバタバタと行ってしまった。

「今日も元気だな、あいつ」

「本当ですね」

俺と会長は走り去る井口を見送って、もう一人の書記の子がノートをまとめ終わるまで、何となく喋って過ごした。
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