かわいいあなたにマフラーを
ノートをまとめる書記のこの子は野上りさ。唯一の一年生だ。

会長の知り合いらしく、会長のスカウトで生徒会に入ったらしい。

会計は、気がつくともう帰ってしまっていた。

「お待たせしました」

「お疲れ様。じゃあ、行こうか」

会長と野上と3人で生徒会室を出て、廊下の突き当りで別れた。

俺は真っ直ぐ家庭科室へ向かった。
そういえば行ったことないな、家庭科室って。
近づくにつれ、ミシンの音や女子の話し声が聞こえた。

「すいませーん。静谷、いますか?」

入口のドアは開いていて、俺はそこから声をかけた。
一気に注がれる視線に一瞬たじろぐも、その中に静谷を見つけて自然と笑が溢れた。


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