かわいいあなたにマフラーを
うん、うん、と頷きながら聞いていると、
「わたしばっかり話してるよね、笹野君の話も聞きたいな」
そのぅ、彼女、だし……。
と小さな声で付け足す彼女が可愛くて、俺はもっと触れたくなった。

「ねぇ静谷……抱きしめて、良い?」

「……き、聞かないで……?」

ぽっと頬を染めた静谷は、嫌がる素振りを見せなかった。

俺は彼女の手を引いて、近くの目に付いた公園に移動した。

すっかり日が暮れた藍色の空の下、公園には小さな子供の姿などはもちろんなくて、俺と静谷、二人きりの空間となった。

ベンチに腰掛けて、じっと彼女を見つめる。

「好き、静谷……」

「わ、わたしも……」
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