虹色研究部 - ニジケン -
「チャンスだ竹内、退部すると言え!」


深町先輩の声が、なぜか遠くで聞こえる様な気がした。

今の私の意識は、全て目の前の紙にある。他には何も目に入らない。


『俺は……幸せだ』


國枝先輩の嬉しそうに笑った顔が、脳裏に浮かんだ。


「お、おい! 竹内!」


私はボールペンを強く握りしめる。
そして今度は自分の意志で、あの時と同じ場所に名前を書いていく。

躊躇う事なく、けれど丁寧にゆっくりと。


「竹内!!」


誰かに呼ばれた気がしたけれど、私の手は止まらない。
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