虹色研究部 - ニジケン -
一瞬にしてピリッと空気が張り詰めるのを感じた。

蘭先輩は普段から明るい方ではないが、今の態度はクールとは程遠い――拒絶だった。


「蘭でいいから」


「はい……」


私が視線を下に落とすと、ポンポン、と頭を軽く叩かれる。


「体育大会気を付けろよ。燈はこういうイベントには本気だから。味方でも大変だけど、敵になるならより一層厄介だぞ」


顔を上げると、蘭先輩はそっぽを向いて大きなあくびをした。

それを合図に、空気は再び和やかさを取り戻す。

そして彼は「じゃーな」と呟くと、再び大きなあくびをしながら、屋上に続く階段へと消えて行った。
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