虹色研究部 - ニジケン -
「どしたのって、おのれ人に毒を盛っておいて忘れたのか!? お陰で俺は地獄を見たわ!!」


あぁ。そういえば深町に下剤玉を撃ったの、すっかり忘れていた。


「あー。深町、あの下剤玉効いた?」


「効きすぎだ!! 俺は身体のほとんどが持っていかれて、死ぬかと思ったんだぞ!! お前と体育大会で勝負するつもりが、トイレから出たら終わっていたどころか誰も居なかった!!」


深町は下剤のせいで力が入らないのが、怒鳴る声もいつもより小さく、震えていた。


「深町も体育大会出れなかったんだねー。仲間だ仲間」


「おのれのせいだろうが!! 今日こそはこの学校に沈めてやる!!」


賑やかな声が響く。

楽しそうに笑う乃季を見て、ようやく安堵した。

俺が思っていた以上に、乃季の中でニジケンが大きくなっていた事が、素直に嬉しかった。


それだけで俺には、十分過ぎるほど価値のある一日だった。
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