虹色研究部 - ニジケン -
「だとしても、初対面の女子生徒に『可愛らしい』だなんて、絶対にロクな人じゃない! 無駄にダンディーだし」


トミーは私を心配してくれているのか、眉間のシワに手を当ててため息をつく。


「本当にあの人の言う通り、全校集会になるのかな?」


「どうだろ? でも五限の現代文は当たる予定だったし、もし本当だったらラッキーだな!」


ピョンッと跳ねた彼女の短い髪が、ふわりと舞う。

不機嫌な表情から一変して、ニッと歯を見せていたずらに笑う顔はとても可愛い。


「もう、調子良いんだから」


スキップをしながら教室に向かうトミー。
私はその一歩後ろを、笑いながら歩いていった。
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