虹色研究部 - ニジケン -
「ほら、蘭! 出口だぞ!」


理事長と蘭先輩が出てきたのは、入ってからおよそ二十分が経った頃だった。

蘭先輩は理事長の肩にぴったりと寄り掛かり、地獄でも見てきたかの様な、げっそりとした顔をしている。


「蘭、遅かったねー。普通に行けば五分のコースなのに」


「あ、燈。お前……」


そう呟くと、蘭先輩はその場にドシャッと倒れこんだ。


「らっ、蘭先輩!?」


慌てて駆け寄ると、蘭先輩は白目を剥いて気絶していた。

それを見てクスッと笑った理事長が、蘭先輩の隣にしゃがみ込む。

相当掴まれたのか、綺麗なスーツはグシャグシャによれていて、オールバックの髪も乱れている。


「どうでしたか? 蘭は恐怖心で満たされた時が一番素直になると思うんですが」


國枝先輩は語り掛ける様にそう言うと、理事長と同じく、蘭先輩のそばにしゃがみ込んだ。

理事長は柔らかい笑みを浮かべて、横たわる蘭先輩の顔をジッと見つめている。
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