虹色研究部 - ニジケン -
「じゃあ皆、そろそろ行こうか」


「えっ! 深町先輩は!? まさか放って帰る気ですか!?」


「まさか。ホラー好きと豪語した深町の為に、もーっと楽しませてあげないとねー」


ニカッと笑った國枝先輩は、どこからか取り出したマスクを被った。


その信じ難い姿に、私は身体を硬直させる。

勢い良く吹いた風が、長髪のウィッグを舞い上げて私の視覚を遮った。


「どう? いい出来でしょ?」


私は顔に掛かった髪を掻き上げて、もう一度目の前の彼を再確認した。


「……國枝先輩、なんですよね?」


目の前に居る人物は、どこからどう見ても――深町先輩そのものだ。
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