虹色研究部 - ニジケン -
「でも、どうしてそんなに優勝したいんですか? 何かすごい特典でもあるんですか?」


「そうそう! 優勝商品も」


その時、「キーンコーン」とチャイムの音が響いて、私はハッとする。


「國枝先輩ごめんなさい! 遅刻しちゃうんで、詳しい話はまた部活で!」


私は熱の入った國枝先輩を置いて、急いで校舎に駆け込んだ。

鳴り響くチャイムと共に走る。

揺れるマフラーが邪魔になり、私は走りながらマフラーを取って、手に持った。


「おはようございます!」


ノロノロと歩いていた担任を廊下で追い抜き、教室に飛び込む。


「おお竹内。ギリギリセーフだったなー」


机に突っ伏して上がった呼吸を整える私を、真顔で見下ろす担任。

彼は淡白な性格なのか、私がニジケン部員だとわかっていても特に態度は変わらない。

というより、誰に対してもあんまり興味がないみたいだ。


「俺より先に席に着いた奴は、遅刻見逃してやってるから。竹内ラッキーだったな」


「……ど、どうも」


担任の適当さに救われた。
< 249 / 357 >

この作品をシェア

pagetop