虹色研究部 - ニジケン -
「國枝先輩……。いい加減、背後から急に現れるのはやめて下さいよ」


ホッと胸を撫で下ろした私を見た國枝先輩は、なぜかニコリと微笑むと、階段を下りて私の隣に立った。

するとトミーは、國枝先輩をジロリと睨みつけながら、私と彼の間を裂く様に、割って入った。


「あなた、今度は何を企んでるんですか?」


「嫌だなぁー、企むだなんて。俺はただ乃季を迎えに来ただけだよ。俺は今日から一週間、乃季の側から離れない。徹底的にカップルになる為にね!」


微笑みながらそう言った國枝先輩は、私の腕を取った。

まっすぐに向けられるキラキラと輝く目に、彼が本気である事を思い知らされる。


「ベストカップルは、生徒と来場した一般の人の投票結果で決まるんだ。だから学校中の皆に、俺達がベストカップルだってことを認識してもらわないとね?」


國枝先輩はニヤリと怪しく口角を上げた。

何度も見てきたその笑顔に、背筋がゾッとする。


……この笑顔を見て、いい事が起きた試しはない。
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