虹色研究部 - ニジケン -
「おい、まだか? 早く行くぞ」


待ちきれなくなったのか、扉から蘭先輩が退屈そうに顔を覗かせた。


「ちょっと蘭、いきなり入ってこないでよ! 乃季ちゃんの着替えが途中だったらどうすんのよ」


「そんなもん、すりガラスに映るシルエットを見て確認済だ」


蘭先輩は無表情でそう言った。

何となく恥ずかしさを覚えた私は、身体を隠す様に手をクロスさせる。


「あんたって……どうしてそう無神経なの」


「いいから行くぞ。腹減った。皆外で待ってる」


気怠そうな声を出す蘭先輩は、疲れて眠いのか、ゴシゴシと目をこすっている。


「あんたねぇ、そういう所を直さないからモテないのよ! ほんっと顔だけ男ねー」


「うるせぇ。この顔だけで魅力は十分有り余ってんだよ」


蘭先輩が勢い良く扉を開けると、そこには首を長くして待つ男性陣の姿があった。
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