虹色研究部 - ニジケン -
「……ん、そうだな」


「やったー! じゃあ卒業式の前日に部室でいいですかね? 色々と準備しないと! どうせなら驚かせたいですからね!」


テンションが上がって思わず立ち上がる私を、蘭先輩は頬杖をついて見つめている。


「……んじゃ、今から必要な物でも買いに行くか?」


「えっ、蘭先輩も一緒に来てくれるんですか!?」


「お前だけを買い出しに行かせたりしねぇよ。鬼かよ俺は」


「ひでぇな」と吹き出した蘭先輩は、クスクスと笑いながら立ち上がる。


「お前、寂しいって言いながら楽しそうだな」


「だって私達が何かを計画して先輩達を驚かせるなんて初めてじゃないですか!」


「まぁ、確かに」


私達は、いつもより静かな部室に鍵を掛けて後にする。

先輩達の喜ぶ顔を思い浮かべて歩くと、嬉しい様な寂しい様な、何とも言えない不思議な気分だった。
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