虹色研究部 - ニジケン -
「乃季」


私をまっすぐに見つめた彼は、綺麗な桜色の唇をキュッと噛む。


「ありがとう」


「は、はい! あっ、どうぞ座って下さい!」


彼がとても幸せそうに微笑むから、私は急に気恥ずかしくなり、速くなる鼓動を誤魔化す様に、椅子を引いて先輩達を迎えた。


「乾杯しましょう! 飲み物取って来ますね!」


私は部室の奥に走ると、冷蔵庫にもたれ掛かり、ふぅーっと息をついた。

嬉しそうに盛り上がる三人を見て、安堵感が押し寄せるのと同時に、言いようのない寂しさが胸に込み上げる。


「皆でここに居られるのも、今日で最後なんだ……」


冷蔵庫から取り出したペットボトルをギュッと握る。

私は何度も深呼吸を繰り返して、気合いを入れた笑顔を作った。


「お待たせしましたー! さぁ、乾杯しましょう!」


皆の元に戻って飲み物を注ぎ、全員がグラスを手にする。

國枝先輩はオレンジジュース。
和田先輩はストレートティー。
滝口先輩は緑茶。
蘭先輩は微糖のコーヒー。

全員の好みも、もうずっと前に覚えていた。
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