虹色研究部 - ニジケン -
「部長もまともな事を言う時もあるんですね。卒業前に大変貴重な物を見させていただきました」


滝口先輩がまじまじと國枝先輩を見つめると、彼は飲んでいたオレンジジュースをグッと詰まらせ、少し困った様な表情を浮かべた。


「確かにね! 燈は昔からいっつもふざけてたから」


「あきも紀香も言うねー。そりゃ俺だって、たまにはまともな事だって言いますよ」


苦笑いを浮かべた國枝先輩は、グラスを突き出していじけた様に反論した。


「じゃあ、まともついでにいい話でもしましょうか」


「いい話ですか? 聞きたいです!」


滝口先輩の言葉に食いついた私は、前のめりになる。

滝口先輩はほんの少し表情を柔らかくして微笑むと、チラッと國枝先輩に視線を送った。


「……えっ、何! もしかしてあき、何か変な事言おうとしてる!?」


珍しく慌てる國枝先輩。

滝口先輩はその問いに答える事なく、話を始めた。
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