虹色研究部 - ニジケン -
「バカ。これは素手だから面白いんだよ」


ボキボキッと指を鳴らして戦闘態勢に入る蘭先輩。

和田先輩も蘭先輩も滝口先輩も、どうしてこの状況を受け入れているの!?
それどころか、この三人もやる気満々のようだ。


私は青ざめた顔で再び校庭へ視線を移す。

目の前を飛び交う白い物体。響き渡る無数の悲鳴。


「な、なんでこんな……」


「あれ? 乃季、パイ投げ合戦初めて?」


初めてであるのが不思議だと言わんばかりに、キョトン顔で聞いてくる國枝先輩。

彼の背後では、下校中の生徒や部活中の生徒を追うように、白いクリームべっとりのパイが次々と弧を描いて飛んでいく。

冬でもないのに、目の前の景色は銀世界の様に白く染まっていた。
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