ドS王子と平凡少女
店に入ると甘い香りが私を包んだ。
やっぱりこの香りが落ち着く。
私が入るとテーブル席に案内された。
「今日は新作のケーキを食べて貰おうと思ってね。
まだ食べたことなかったよね?」
「はい……最近少し忙しくて……」
嘘をついた。忙しくなんてなかったけれど、本当の事を言うのにも気が引けたからだ。
少しするとトレーにふたり分の紅茶とケーキを乗せて甘野さんがやってきた。
「どうぞ」
「ありがとうございます。」
私がお礼を言うと甘野さんはごゆっくりと微笑んで厨房に消えていった。