ドS王子と平凡少女


私は目の前のケーキを見つめる。


ケーキは薄桃色をしていて、天使の羽のような飴細工が飾られていて、キラキラと輝いているように見えた。


ケーキにフォークを刺すとふわっとした感触がした。


スポンジではないなにか。


私は一口すくい、口に含んだ。


すごく、すごく、甘かった。


そして、なんだか切なくなった。


薄桃色の正体はいちごのメレンゲだった。


中には細かく切ってある甘酸っぱいいちごと、優しい甘味のババロアが入っていた。


甘いいちごの香りと甘酸っぱさが口いっぱいに広がる。


いつの間にか涙がこぼれていた。



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