ドS王子と平凡少女


「……チョコレート?

あぁ、女どもが騒いでいた理由はこれか。」


「返してください!」


「嫌だ。」


「お願いします!返してください!」


「そんなに返して欲しいんだったら、お前が俺に土下座して謝れば返してやるよ。」


何この人……なんでこんなに意地悪なの!?


ぶつかった私も悪いけどさ!


そこまでする必要なくない!?


「何だその顔、不服そうだな。」


「直人、その辺にしとけって。」


「苑は黙ってろ。

お前がそんな顔するなら、これはこうするしかないな。」


「こうするって……」


え……?


それは、ほんの数秒の出来事だった。


直人と呼ばれたその人は、持っていたチョコを地面に落とすと足で踏みつぶした。


それはもう、容赦なく。



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