イケメン副社長にほだされました


「悪い、遅れた。」


若干かすれたような声で言う彼は、明らかに何かあったようだ。


「どうした?珍しいな。心配したんだぞ、なにかあったのか?」

「いや、何もない。悪かった。」


謝罪を繰り返す副社長は、いつもと様子が違う。どこか上の空だ。


岡崎ちゃんが副社長にコーヒーを煎れている。


「サンキュ。」


小さくそう言って彼は副社長室に消えて行った。


「なんか、顔色悪かったな。体調でも悪いのか。」


ひとりごちるように言った社長が気にした様子を見せながら業務に戻ったのを合図に、他の社員も仕事に戻った。

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