イケメン副社長にほだされました


「そうそう。あ、水そのくらいでいいよ。」


水替えをした後はいつも、心なしか魚たちが喜んで見える。


こんなこと言ったら、真司は笑うかな。

笑うだろうな。真司は現実主義者だし。


「ごめんね、助かった。ありがとう。」

「いや、俺がやりたかっただけだから。」

「やりたかったの?」

「ああ。このポンプがしてみたかった。」


水替えのとき、一番最初にポンプで水を抜く。

真司はそのポンプをシュポシュポとしながら真顔でそう言った。


「楽しかった?」

「ああ、ポンプが。」


ほんとにポンプが気に入ったらしい。


子供みたいな真司を笑いながら、一緒に洗面所で手を洗う。

春先の水道水は少し冷たい。


真司の妹泉ちゃんが留学したことで本格的に始まった二人暮らしは、意外にも穏やかに過ぎていた。

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