イケメン副社長にほだされました
遡ること5時間前。
「え?!今夜?」
「ああ、悪い。本当は断るつもりで黙ってたんだけど、断りきれなくて。」
額を片手で押さえながら謝る真司に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
でも、それも当然だと思う。
真司の頼みごととは、今夜開かれる会社の飲み会に一緒に参加して欲しいということ。
なんでも、もう数ヶ月も断り続けていたらしい。
全然知らなかった。
でも、
「私はいいよ。」
今夜は特に予定もない。
それに、真司の会社の人に会ってみたい気持ちは前からあった。
「…いいのか?」
真司の返答はとても嫌そうで。
どうやら私に断って欲しかったみたいだ。
ほとんど真司に私を紹介させるために企画された今夜の飲み会は、気が進まないらしい。