イケメン副社長にほだされました
真司は水槽の鮮やかな熱帯魚たちをみている。
横顔しか見えないけど、その表情はいつもと変わらないように見える。
これまで、真司から家族の話を聞いたことはない。
思えば、家族の話は避けられていた気がする。
「俺が小さいころ出て行ったんだ。だから、あんまり記憶がない。」
プラティの赤が目に染みる。
「そのことでグレた時期もあったな。今はもう吹っ切れたけど。」
何て声をかけていいか分からない。
真司がどんな表情をしているのかも。